ねーねー、『ゴジラ−1.0』がアメリカアカデミー賞の視覚効果賞を受賞したじゃん
あー、してたねーー
カエルくん(以下カエル)
それでさ、こんな記事を見つけたんだけれどさ……
主
あー、映画評論家の松崎健夫の解説記事ね
カエル「それと同時に、クリエイターの賃金が低いってことに言及されていたけれど……ほら、経済に興味があるならば、どうにかして打開策を見つけたいじゃん?
アニメ界とか、映画界を金銭的に救うような素人アイディア、何かないの?」
主「……無理」
カエル「……え、そんな一言で」
主「クリエイターが稼げる構造になっていないから、無理だよ、そんなの。
むしろ1番稼げない状況といってもいい」
カエル「えっと……じゃあ、今回はそこを独自解説していきましょうか」
経済に関する状況の説明
経済の基本的な考え方
まずは、最も根本的な話からしていくということだけれど……
カエルはお金持ちっていうと、どういう人が思い浮かぶ?
カエル「えっと……医者とか、政治家とか?」
主「ふんわりとしているけれど、まずはそこから改めて捉え直していこう。
それでいうと、医者とか政治家というのは、実はそこまで稼げるわけではない。
ロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』にESBIって考え方が出てくる。これはお金を稼ぐ形態を4つに分類にしているんだけれど、簡単にまとめると以下の通り」
- E:Employee(労働者)
- S:Self employee(自営業者)
- B:Business owner(ビジネスオーナー)
- I:Investor(投資家)
まあ、ロバート・キヨサキの話をする人にろくな人間はいないんだけれど
カエル「え、何を唐突に偏見を……?」
主「10年以上前の古い話かもしれないけれどさ、書籍自体は良書かもしれないけれど、ロバート・キヨサキの話をする人の体感10割はマルチ商法の人で、すぐメンターが……稼げるから……と言い出すから、気をつけたほうがいいよ。
『読書好きなんです』って言われたから『どんな本を読むんですか?』尋ねたら『金持ち父さんと貧乏父さん(もしくは『チーズはどこへ消えた?』)』と返された時のガッカリ感って強い。
ただ、この考え方は重要だから、紹介するけれどさ」
話を戻して、上の4つの区分はどういうことなの?
稼ぎたいならば下の2つを目指しなさいって話なんだよね
主「労働者・自営業者は稼ぐのに適していない。
安定感はあるかもしれないけれどね。
一方で下の2つ、ビジネスオーナーと投資家は稼げるので、この2つを目指しなさいって言われている。
ちなみに、先ほどカエルがあげた医者は労働者or個人事業主が多いので、開業医など病院を経営する立場でないと稼ぎやすいわけではない。ただ多額の賃金を得る人が多い業態ではあるけれどね。
政治家は……やばいことやずるいことを山ほどしてそうだけれど、基本は個人事業主に該当する業態になるのではいかな」
お金を稼ぐ構造とはどういうことか?
えっと……なんでそういう話になるの?
純利益の求め方の話になるからだ
この画像の考え方は、一般社会でも役に立つから覚えておいて損はないんじゃないかな
カエル「まず最初に商品を販売した時にもらう売上高があって、そこから引いていくんだよね」
主「わかりやすくラーメンに例えよう。
計算しやすいように1000円のラーメンとしたら、原価率30%で300円がマイナスされる。人件費は原価と販管費、どちらに計上されるかは場合によるけれど、今回は販管費にしよう。販管費……これは例えば家賃とか光熱費とか食券機の管理費用、消耗品とかになるけれど、人件費も含めて5割としよう。
さて、答えは?」
えっと……1000-300-500=200?
そうだね、このラーメン屋の純利益は200円だ
主「つまり、このラーメン屋さんは20%の利益を得ているということになる。
で、この200円から税金等が引かれるから……まあざっくりと20%として、160円。
つまり1杯1000円のラーメン屋で、店主の儲けは160円ということになる」
ビジネスオーナーと投資家が儲かる仕組み
なるほど、それで?
これがビジネスオーナー&投資家が儲かる仕組みだ
カエル「……話が飛躍しているよね?」
主「では、このラーメン屋が値上げして2000円になったとしよう。
だけれど奇跡的に……本来はありえないけれど、話がわかりやすいから、原価も販管費も一切変わらなかったとする。
つまり、ただ値上げしただけ。なのにお客さんは減らなかった。
そうすると計算はどうなる?」
経費の金額は変わらないから……2000-300-500=1200だよね
はい、これが答えです
主「もちろん、この純利益から税金は引かれるし、実際は経費は増えるからここまで机上の計算通りにはいかないけれどね。税金は儲けが増えれば割合も増える累進課税だから、計算しやすく1/3としても800円。
で、この800円は誰が持っていくの?」
……最後の人だから、この店のオーナーとか?
そう、つまりビジネスオーナーと投資家なんだよ
主「つまり、労働者とか自営業者というのは、上の表記だと原価・販管費で、すでにお金をもらっているわけ。
だから純利益が増えても、交渉等がない限り取り分は増えない。商品の値段が上がっても、同じ人数で同じ仕事をしていたら、ビジネスオーナーは賃金を上げる必要性が薄いからね。
だけれどビジネスオーナーや投資家の取り分は、その儲けから分配される。
ビジネスオーナーはその利益を得る。
投資家の場合は配当として、あるいは株価の上昇として恩恵を受ける」
それはわかったけれど……
つまり、どれほど働いても労働者と個人事業主っていうのは、お金が増えるのには限界がある構図なんだ
カエル「えっと、労働者と個人事業主はすでにお金が払われているから、利益が爆益でも配分されないってこと?」
主「そういうこと。
その代わりメリットとして安定している。
純利益が赤字でも賃金がもらえるし、日本の場合は労働者は解雇されづらい。個人事業主は雇用すら不安定だから、だから1番の弱者とも言えるけれど……労働者以上に不安定なぶん、個人の実力と交渉次第では取り分が増える可能性はある。
一方でビジネスオーナーや投資家は赤字でも自分で資金繰りをしなければいけない。
株価が下がったところで、誰も補填してくれないからね。
さらに詳しく言えば、投資家は有限責任・無限責任という考え方があるけれど、今回は割愛する」
要はビジネスオーナーや投資家はリスクがある代わりに、大きな純利益を得る、という構造なんだ
アニメの場合、誰が儲けているのか?
では、ようやく映像関連のクリエイターはなぜ儲からないのか? という話をしていきましょう
うちはアニメ会社の話を聞いているから、アニメの話をしていくよ
主「まず、カエルに問題。
アニメって誰が儲けていると思う?」
カエル「え? 有名なのは京アニとかufo tableとかMAPPAとか?」
主「う〜ん……微妙なところだけれど、まあ間違いになるかな。
なぜなればアニプレックスやクランチロールなどのアニメ関連の子会社を多数抱えている。
例えば、鬼滅の刃の大ヒットで誰が儲かったのか? というと、下にまとめた」
ふむふむ……アニメビジネスをしている会社だね
あとはいくつか大きな会社が思い浮かぶかな
主「今だったらバンダイナムコホールディングスは欠かせない。
旧サンライズであるバンダイナムコピクチャーズなど、多くのアニメ関連の子会社を抱えている。
あとは当然、東宝も劇場アニメでは存在感を発揮して、TOHO animationを中心に活躍している。
テレビだと日テレのジブリ買収が話題になったけれど、実は老舗アニメ制作会社のタツノコプロとか、あとはマッドハウスも日テレの子会社なんだよね。
東映と東映アニメーションも欠かせないが……ここはちょっと複雑で、東映が親会社なんだけれど東映アニメーションの方が時価総額も上で、経常利益も数字は結構似ていて、逆転現象が起ころうとしている。
パッと思い浮かぶのはこの辺りかな……?」
アニメ”製作”と”制作”の違い
ここまでの話はわかったけれど、アニメでめっちゃ儲けているんだから、クリエイターに還元してもいいよね?
今までの話は全部アニメ”製作”の話だよ
カエル「……製作と制作って何が違うの?」
主「アニメでビジネスをするのが製作会社。
アニメを作るスタジオなどは制作会社。
この2社は同じ読みだけれど、明確に異なるから、ここは注意した方がいい。
ちなみに、さっきはわかりやすく『鬼滅の刃』の話をしたけれど、ufotableはアニメを制作した会社だけれど、同時に製作委員会に入っているので製作会社でもある。
ここについては、また後ほど話そう 」
TAAF……池袋で開催された東京国際アニメフェスティバルの『5年後のアニメーション』というトークプログラムで、興味深い話があった
主「アニメ産業は3兆円ビジネスと言われているけれど、その中で制作会社に入るのは……その場では明確な数字が出ていたけれど、ちょっと忘れてしまったけれど、確か3000億円くらいで横ばい。
つまり、ビジネスは3兆円規模なんだけれど、制作に入るお金はその1/10ってことになる」
え、じゃあ、アニメビジネスは伸びているけれど、制作会社に入るお金があまり変わらないってことは、制作費は増えていないんじゃないかってこと?
具体的にはわからないけれど、データ上はそういう分析になるかな
カエル「そんなの搾取じゃん!
許せないよ、革命を起こさないと!」
主「そういう感情的な意見も分けるけれど、今日はここまで。
明日は最初の経済の話を参考にしながら、弱い立場にいるアニメ制作会社とクリエイター=個人事業主の話をしよう」
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